チュウBメルマガ VOL.223-1
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◆◇◆日本更生保護学会第4回大会(その1)◆◇◆
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2015年12月5(土)~6日(日)、慶應義塾大学日吉キャンパス
(横浜市)にて、
日本更生保護学会第4回大会が行われました。
資料を拝見すると、2015年11月30日現在、BBS会員の学会員は13名(全体の1.7%)でした。
大会の正式な報告は、日本更生保護学会機関誌『更生保護学研究』で発表されますので、このメルマガはこやまんの感想とします。
◆学会企画シンポジウム『更生保護と地域生活支援』◆
シンポジストは、検事,保護観察官,更生保護施設理事長,大学院教授でした。
▼検事からは-
『検察における再犯防止に向けた取り組み』
【これまで】
刑事事件について捜査及び起訴・不起訴の処分を行い、裁判所に法の正当な適用を請求し、裁判の執行を指揮監督するなどの権限
↓
これだけでは再犯防止につながりにくい
↓
【新しい取り組み】
・社会福祉士の採用(市町村役場,地域生活定着支援センター,被疑者やその家族とのやりとり)
・外部の社会福祉士との連携
・地域生活定着支援センター(*1)との連携
・保護観察所との連携
・保護観察付き執行猶予の求刑 等
【検察の理念】(第8項をご覧ください)
http://www.kensatsu.go.jp/content/000128767.pdf
(検察庁ホームページより)
(*1)地域生活定着支援センターって?
http://www.mhlw.go.jp/bunya/seikatsuhogo/dl/kyouseishisetsu01.pdf
(厚生労働省ホームページより)
▼保護観察官からは-
『保護観察所が行う地域生活支援』
○更生保護における地域生活支援
【広義】非行少年・犯罪者が、地域において自立した生活者となることを「地域生活支援」ととらえるならば、保護観察等の働きかけは、そのほとんどが「地域生活支援」と言えるのではないか?
【狭義】高齢または障害等により自立困難な犯罪者等が、地域において自立した日常生活・社会生活を送ることができるように支援すること。
○特別調整(関係機関の連携による出口支援)
高齢または障害により自立困難な受刑者等について、矯正施設(刑務所等),保護観察所,地域生活定着支援センター(*1)等の連携により、出所後直ちに福祉サービス等につなげることができるよう調整を行う取り組み。(平成21年度に導入)
○更生緊急保護(*2)事前調整の試行(検察庁との連携による入口支援)
・起訴猶予による更生緊急保護が見込まれる勾留中の被疑者について、検察庁の依頼を受けた保護観察所が、あらかじめ釈放後の住居の確保や福祉サービスの受給等に向けた調整等を実施する取り組み。
・検察庁と連携の上、重点的な社会復帰支援を必要とする者を処分前に保護観察所が見極め、その対象として選定された起訴猶予者(重点実施対象者)に対し、保護観察所が、継続的かつ重点的に生活指導等を行った上で福祉サービスの調整、就労支援等の社会復帰支援を実施。
(平成27年4月、全国の保護観察所で試行開始)
(*2)更生緊急保護って?
http://www.moj.go.jp/hogo1/soumu/hogo_hogo01.html#03
(法務省ホームページより)
▼更生保護施設理事長からは-
『更生保護施設(*3)における地域生活定着 ~再犯防止のための取り組み~』
「社会に戻せる人(再出発の可能性がある人)は戻したい!」
・刑務所等の矯正施設から出た人に対して、人間的ケアをしないと立ち直ることができない。
【一般改善指導】(施設で生活している人、全員が対象)
1.生活指導:あいさつ・そうじ・お金の管理
2.就労支援:完全就労を目指す。徹底したパソコン教育
3.人間性の回復教育:民間協力者の応援,情操面を含めた心のケア
(*3)更生保護施設って?
http://www.kouseihogo-net.jp/hogohoujin/institution.html
(全国更生保護法人連盟ホームページより)
▼大学院教授からは-
『更生保護と地域生活支援 -課題克服の道筋-』
○保護観察対象者の特質と変容
・発達障害(知的障害を含む)・精神障害に由来する障害と犯罪性(社会性障害)との「重複・併存障害」
・「障害受容」が不十分で、治療的動機付けが乏しいために「駆けつけ支援」が必要
・精神医療・臨床心理・福祉などとの他職種他機関連携による対応が必要不可欠
○犯罪臨床の観点を再確認
・福祉は善意、刑事司法は悪意への対応が不可欠。よって、権力を背景にアプローチ。
・自由の制限:保護観察官は保護観察対象者に、やりたくないことをやらせる。そのことの認識。
・権力執行者と支援者(保護観察の処分と、社会復帰支援)との「ダブル・ロール」(二つの役割を引き受けて行動・認知すること)の自覚。
・目標は「犯罪のない普通の生活」だが、犯罪抑止は「目に見えない変化」であり、難しい。
・「刑事司法の福祉化・精神医療化」はあり得ない → 立ち直りの責任として、支援・治療を受ける義務。
○リスクアセスメントの機能不全、処遇と一体化した仕分けを!
・入口支援(罪に問われ刑が確定するまで)には、家庭・社会環境等、立ち直りのための社会的資源の調査・調整、拡大への働きかけを特質とする、地域診断を含めた「判決前調査」が不可欠(これは更生保護のみ)
・医療観察制度(4)の社会復帰調整官(5)の機能に加えて、各種の高度で専門的な処遇プログラムを運営する新たな処遇官としての保護観察官を
○課題と展望
・エビデンス(証拠・根拠)は再犯率といった数字ではなく、立ち直りのストーリーを説得力ある語りによって社会へ示すことが有用
(*4)医療観察制度って?
http://www.moj.go.jp/hogo1/soumu/hogo_hogo11.html
(法務省ホームページより)
(*5)社会復帰調整官って?
http://www.moj.go.jp/hogo1/soumu/hogo_hogo17.html#01
(法務省ホームページより)
(その2につづく)
―――
理系のこやまんにとって、難しい内容じゃったけど、最先端の話を聞くことはとても刺激になりました。
情報交流会で、大学教授に「BBSの存在意義はあるんですか?」と質問しました!「保護観察官などの役人は法に従い仕事をするけれど、BBSは法律ではカバーできないこともすることができる。意義はある。」と言われ、がんばる気持ちになりました。
(こやまん)
※写真は、BBSメンバーです。
中央が、日本BBS連盟会長で、右端は日本BBS連盟事務局長、その他は省略します(笑)
------【配信日:2016.01.11】
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(事務局:法務省中国地方更生保護委員会内)
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